お役立ちコラム

2024年06月11日

オフィス回帰でアップデート!働きやすい職場の新常態

 業務のデジタル化や働き方改革に取り組む企業がコロナ禍をきっかけに増え、同時に、テレワークを導入する企業の数も増加してきましたが、そんなテレワーク導入企業で再びオフィスへの出社をうながす動き、いわゆる「オフィス回帰」に積極的な企業が昨年度あたりから出始めているようです。とはいえ、完全にコロナ禍以前の出社水準へ戻っているかといえばそうでもなく、全国の就業者40,000人を対象とした「令和5年度テレワーク人口実態調査」※ (国土交通省/2024年3月26日公表)を見ると、テレワークの環境整備を進めた国内企業はむしろ、出社と在宅を組み合わせたハイブリッドワークの運用に舵を切った様子がうかがえます。実際のところ、会社から出社中心の働き方を求められる社員もいれば、社員自らの意思で積極的に出社する場合もあり、それだけ自由に働ける幅が広がっているといえるのではないでしょうか。


※「令和5年度テレワーク人口実態調査」 (国土交通省/2024年3月26日公表)

進むオフィス回帰 、ハイブリッドワークに適したオフィスとは

 柔軟な働き方に合わせてオフィス空間を無駄なく稼働させるために、まずはハイブリッドワークに適したオフィスの機能性について考えてみましょう。テレワークは従業員に働きやすさや働き続けられるという安心感をもたらしますが、その反面、「オフィス回帰」という現象が示しているように、コミュニケーション不足による業務効率低下など負の影響を招きやすいと感じている人が一定数いることもわかってきました。そのことは、「令和5年度テレワーク人口実態調査」にも示されています(図)。これからのオフィス環境には、こうしたテレワークの弱点をカバーするための機能が求められるようになります。

 これらのことから、ハイブリッドワークに適したオフィスを整えていくには以下、2つのポイントが考えられます。順を追って説明しましょう。

1:どこでも仕事ができるように座席は流動的に
2:目の前の仕事に集中しやすい環境をつくろう

1:どこでも仕事ができるように座席は流動的に

 テレワーク導入企業であれば概ね、ワーカー1人につきノートパソコン1台と携帯電話1台が貸与されているのではないでしょうか。その状況にともなって、従来のオフィスにあった「自分の席」というスペースのあり方をフリーアドレスに変更する企業も増えてきました。ワーカーに自席を与える従来のオフィスだと、そのワーカーが在宅中はオフィスが空席のままになってしまいますが、フリーアドレスなら座席をムダなく使えるようになるからです。一人当たりの床面積を考える場合、出社から退社まで1つの固定席で過ごさせるよりも、オフィスのどこにいても仕事ができるという状況をつくり出した方が床面積の稼働率を上げることができ、遥かに合理的というわけです。

 この考え方は、「会議・打合せエリア」や「リフレッシュエリア」にも適用できます。在宅とオフィス間に限らず、取引先ともWeb会議が当たり前となった昨今、ただ単に会議室や休憩室といった限られた用途・目的に床面積を割いていては、 空きスペース・空き時間に対して賃料を払っているようなムダを生じかねません。 そこで、従来の「会議・打合せエリア」や「リフレッシュエリア」をコミュニケーションスペースと位置付け、多用途・多目的の利用を見込んだ機能的な場所に転換させましょう。そうすることで、出社率が高まりやすい月末/月初の時期などには会議室や応接室の席を執務席に開放するといったことが可能となり、床面積の稼働率はグッと広くなります。

 このように、ワークスペースに限らずフリーアドレス化をオフィス全体で考え直すことで座席が流動的になり、結果的に人の移動(人流)を活発にすることができます。人の移動が増えることはお互いに目が合う機会も増えて会話を始めるきっかけともなり、テレワークの弱点ともいえる社員同士の偶発的なコミュニケーションが自然と生まれやすくなります。さらに社員同志の交流が進めば部門の垣根を超えやすくなり、さまざまな人を集めたブレインストーミングなどの創造的なコミュニケーションがしやすくなるでしょう。

 また、ABW(Activity Based Working)※を推進されているお客さまであれば、ビル内の共用施設も含んでオフィス活用を考えてみましょう。当社管理のオフィスビルでもテナント共用のワーカーズラウンジの開設が増えてきました。共用ラウンジでは、ビルで働く企業同士によるコラボレーションも容易になります。ワーカーの気分次第でビル内のさまざまな場所で働けるといった場合に課題となるのは「人探し=誰がどこにいるか 」ですが、そうしたお悩みは位置情報システムや座席予約システムなどを使うことで解消できます。

※ABW:業務内容や気分に合わせて働く場所や時間を自由に選択する働き方

■事例:偶発的なコミュニケーションを生みやすい場(カフェタイプ)
ハイカウンターを置くとカフェ感が演出でき、通りかかった仲間と視線が合いやすくなります。(左写真)
丸テーブルやベンチソファを置くとくつろぎ感が生まれ、よりリラックスしたムードで会話も弾みます。(右写真)

■事例:創造的なコミュニケーションがしやすい場(コラボタイプ)
集まったみんなの表情や資料を映し出すモニターが見やすいように家具を配置。(左写真)
ホワイトボードで緩やかに囲った場所だと周囲からも覗きやすく、議論に飛び入り参加しやすくなります。(右写真)

2:目の前の仕事に集中しやすい環境をつくろう

 自宅よりも集中できる場所をとオフィスへ出社したのに隣席との距離が近くて落ち着かない、他人の目線が気になる……というのでは、オフィスで仕事をする意味がありません。上述した座席のフリーアドレス化によってコミュニケーションをうながすことと反比例するようですが、ソロワークなどで目の前の仕事に集中したいときには、人の気配や視線がかえって邪魔に感じることがあります。

 したがって、社員同士が交流する場と集中するための場といったゾーニングでオフィス内を仕切るのも1つの考え方になるでしょう。例えば、オフィスの入口近くやメイン動線付近など往来が多いエリアをコミュニケーションゾーン、オフィス区画の端や窓際など往来の少なくなるエリアを高集中ゾーンにするなど、オフィス内の動線を考慮したゾーニング方法があります。高集中ゾーンでは、運用面で電話やWeb会議、私語厳禁などのルール設定をすると、より効果的です。

 モバイルデバイスからWeb会議に参加できるようになった現在だと、隣席や対向席の会話が気になるといった問題もあります。こうした音漏れ対策として、話し声が軽減できる吸音パネルで囲った席を設けるほか、出社率の調整で余裕のあるスペースに遮音性の高い個室ブースを設置するなどの方法があります。ハイブリッドワークに適したオフィスには、座席のフリーアドレス化と同時に、このような業務遂行に適したソロワークがしやすい環境づくりも欠かせない要素と考えています。

■事例:島型配置で仕事に集中させるロングデスクの工夫
総務や経理のように居場所をはっきりさせた方がよい部署の場合に選ばれやすい島型配置。フリーアドレスであっても、ロングデスクにデスクトップパネルをつけるだけで目線が机の上に集中しやすくなります。固定席にするなら専用のワゴンをつけて。

■事例:音漏れを気にせずWeb会議に集中できる個室ブース
テレワークで調整した出社率をもとに床面積を確保。遮音性が高い個室ブースを設けることで、周囲への音漏れを気にせず機密性の高いWeb会議が安心して行えますし、集中してソロワークをする場所としても活用できます。

アイデア次第で広がるオフィス活用

 限りあるオフィス空間をどう生産的に活用できるのかはアイデア次第、まずはオフィスで働く従業員の思いや意見が大切です。お客さまからの相談では 、特にリフレッシュエリアを充実させたいという声を多く聞きます。また、書庫を減らして会議室や打合せコーナーを作りたいといった声もあります。もしもストックヤードが物であふれているのなら、書庫サービスや紙の電子化などを利用して、少しでも使えるスペースを確保しましょう。

 最近では、会社の顔となるレセプションの空間にオフィスラウンジ を設ける会社も増えているようです。気軽なミーティングやソロワークに使うだけではなく、外部を招いてのセミナーやYouTubeライブスタジオとして使ったり、多目的・多用途に活用することができます。
 
 また、社員の集中力アップや体力づくりをサポートするための空間として、照明を落とした瞑想エリアやトレーニングマシンを導入した健康増進エリアもオススメです。こうした用途や機能性を付加することで、社員が出社したくなるオフィスに刷新することができるでしょう。

 オフィス回帰に対応したハイブリッドワークを活かせるオフィスにしたい、業務効率・生産性が上がるオフィスにしたい、ビルも含めた包括的な提案がほしいといったご要望がありましたら、ぜひ当社窓口もしくはビル専任担当までご相談ください。お客さまの実状に即したオフィスプランニングやICTソリューションをご提案いたします。

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