お役立ちコラム
2025年03月11日
大規模地震に備えよう 事前に決めておきたい帰宅ルールとは?
大規模地震(大都市圏においてM7クラス以上の地震)が発生した場合、公共交通機関の麻痺、道路・橋梁の寸断、車の渋滞などにより多くの従業員が徒歩で帰宅を余儀なくされる可能性があります。また、発災直後は帰宅ルート上の危険が不明、かつ、場所によっては通信がつながりにくくなるため、むやみに移動すれば最悪、命の危機に遭遇することも。企業は、従業員の安全確保と混乱の抑制のため、徒歩帰宅に関する注意喚起と適切な備えを行うことが不可欠です。3.11を前に、ここで改めて徒歩帰宅に関する情報をアップデートしましょう。
徒歩帰宅を開始する前に
大規模地震の発生直後は、落下物や倒壊物など危険が多いため、むやみに移動を開始するのは危険です。まずは身の安全を第一に考えてオフィスに留まるか、一時滞在施設などに避難し、そこで情報収集に努めるよう従業員に周知徹底しましょう。特に、発災から3日間は「72時間の壁」とされ、救命・救急活動が優先されます。一斉に帰宅しようとする人々で道路があふれると、緊急車両の通行に支障を来して本来なら助かる命を救えなくなったり、集団転倒など別のリスクを生んでしまったりします。「むやみに移動しない」が原則だと心得てください。
屋外にいる場合は、建物から離れ、公園や広場など、できるだけ開けた場所に避難します。都内の場合はヘリコプターが離着陸できる防災公園や、敷地面積が比較的大きく、火災の危険から身を守れる場所が避難場所に指定されています。体感的に危険な揺れの場合は駅へ向かうのではなく、帽子、鞄などで頭を覆いながら、そうした場所へ徒歩移動しましょう。

落ち着ける場所やオフィスにいる場合は、テレビ、ラジオ、スマホアプリなどを活用し、政府や各自治体、企業の指示など、出所の確かな情報を収集するように努めます。特に、SNS・メール運用に特段の注意を払いましょう。過去の災害ではSNS・メールによってデマが拡散した事例が報告されています。情報の発信元を確認して、不用意に拡散しないようにすることが肝要です。
企業の防災担当者は、安否確認システムなどを用いるなどして従業員の状況を把握し、適切な指示を出す必要があります。迅速な対応で正確な情報を届けることが従業員の心のケアにもつながります。防災担当者が被災の当事者になることもあるため、会社は組織ぐるみでバックアップ体制を構築しておくとよいでしょう。従業員の状況が概ね安全であることが確認できた場合、いよいよ徒歩帰宅の判断が可能となります。
帰宅する従業員に徹底すべき心構え
徒歩帰宅を開始する際は、以下の点に注意するよう従業員に徹底させましょう。
●ルート確認
安全が確認されたといっても、自宅までの帰宅ルートが安全だとは限りません。ブロック塀、電柱、ガラス張りの建物など、倒壊や落下物のリスクがある場所には近づかないよう、従業員教育で指導しましょう。各自治体と民間事業者等が支援協定を結ぶ「災害時帰宅支援ステーション」があり、コンビニやファミレスといった協定対象の店舗や施設では、水道水の提供、トイレの使用、ラジオなどによる情報提供などを受けることができます。東京都では近隣県へ移動する際の「帰宅支援対象道路」が指定されています。
いずれも帰宅ルートに含めて行動ができるよう、東京都防災マップで事前に確認しておくとよいです。

九都県市の災害時帰宅支援ステーションは、このステッカーが目印
●出発〜帰宅
日常のようにトラブルなく移動できるとは思わないでください。ヘルメットや安全靴、手袋など安全を確保できる服装だと、より安全です。災害は晴れの日に限らず、風雨・降雪など天候不順でより危険性が増します。飲料水や食料に加えて、救急用品なども携行しましょう。
また、停電している場合、思っている以上に街が真っ暗になります。夜間の歩行は視界が悪くなり、心理的にも気が抜けません。できる限り、明るいうちに帰宅できるよう余裕をもった行動が大切です。やむを得ず夜間歩行する場合は、懐中電灯などを活用し、周囲に注意しながら歩くようにしましょう。帰宅する方向が同じであれば、日夜問わず、複数人で行動するのがベストです。防犯として、ストレス軽減として、お互いに助け合うことができます。
帰宅者を考慮して普段から備えておきたいこと
企業は、従業員の安全確保と事業継続のため、以下の点について事前に備えておく必要があります。
-
- 連絡手段の整備
- いつもしていないことは、いざというときにできません。日常業務で慣れた連絡方法を使って、従業員の安否を迅速に確認できる体制を整えておきましょう。緊急時に耐えられる安否確認システムの導入も有効です。
-
- 帰宅困難者対策
- 従業員が帰宅困難になった場合に備え、食料、飲料水、毛布、簡易トイレなどを備蓄しておきましょう。本社や事業所の周囲にある一時滞在施設や避難場所などを従業員に周知しておくと、外出時の行動の助けになります。
-
- 徒歩帰宅ルートマップの作成
- 従業員が安全に徒歩で帰宅できるルートマップを作成し、配布しておきましょう。危険箇所や避難場所、災害時帰宅支援ステーションなどはウェブで公開している自治体もありますが、ネットにつなげられない場合は、紙のマップが頼りになります。
-
- 防災訓練の実施
- いつもの防災訓練に加えて、徒歩帰宅訓練を推奨します。歩いてみて初めて気付くこともあります。従業員教育で街の情報を共有することは、より実践的な理解につながります。
-
- 非常用持ち出し袋の準備
- 帰宅困難者向けの備蓄品とは別に、徒歩帰宅者向けの非常用持ち出し袋を準備することも重要です。アレルギーや持病を抱えている従業員もいるため、各自で準備するように働きかけてもよいかもしれませんが、どちらにせよ、会社方針をしっかり決めておきましょう。以下に、徒歩帰宅者向け非常用持ち出し袋のセットを示します。

<セット例>
・リュックサック
・ペットボトル飲料水(500ml程度)
・モバイル充電器/バッテリー
・食料(チョコレート、キャラメルなど)
・地図(帰宅ルートマップ)
・携帯ラジオ
・懐中電灯、乾電池
・防寒具(雨具、保温シート、カイロなど)
・帽子、ヘルメット
・マスク
・手袋、軍手
・防犯ブザー、笛
・衛生用品(タオル、ウェットティッシュ、携帯トイレなど)
・救急用品(ガーゼ、包帯、絆創膏など)
----------
従業員自身の備え
・歩きやすい靴/安全靴
・常備薬
- 非常用持ち出し袋の収納確保
企業側で準備するにしても、従業員個人の持ち込みを預かるにしても、非常用持ち出し袋を置いておくためのスペースが必要になります。従業員のロッカースペースや防災備蓄倉庫に余裕がない場合は別途、収納場所を確保しなければなりません。働き方改革や社内DXが進んでいるオフィスであれば、出社率を減らしレイアウト変更した事で空いたスペースがあるかもしれませんし、当社にもそうしたスペースを活用するご相談が増えてきています。例えば、過去の契約書類など紙媒体を電子化することで書庫スペースを空けたり、工夫をしながら適切な収納場所を考えましょう。
・・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥・・
大地震発生時の徒歩帰宅は、多くの危険を伴います。企業は、従業員の安全を第一に考え、適切な備えと注意喚起を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。私たちNTTアーバンバリューサポートでは、通常の防災備蓄品と同じように、徒歩帰宅者向けの非常用持ち出し袋をご用意することができます。
備蓄品が増えることで収納場所に困るというお客さまには、ワークスペース全体の模様替えを含めたフロアプランニングも可能です。備蓄品の入れ替え時期などに合わせてオフィスをもっと使いやすくしたい、といったご要望があればぜひご相談ください。